熊本の水文化を進化させ、毎日、蒸されることに快感を得ている男がおるのか? そのサウナーとやら、興味があるぞ。

カメラマン・マエダ

こんにちは。サウナの魅力にハマって約2年。サウナ取材の数も増え、「SAUNA IKITAI」Tシャツも買っちゃったサウナーでカメラマンのマエダモトツグです。今日は、サウナの魅力をお伝えするために、ひと肌脱がせていただきます! さあ、爪の先まで暖まるぞ!

サウナが観光の目的地に!?
「西の聖地」の仕掛け人は、
実はサウナが嫌いだった…

ズラっと並んだのぼりが目印。映画「七人の侍」に出てくるものをモチーフに「サウナ」バージョンを作ったそうです。手ぬぐいは非売品で、私の宝物!
カメラマン・マエダ

サウナーならば知らない人がいない(はず!)サウナの西の聖地が、ここ「湯らっくす」です。温泉施設として約30年前にオープンしましたが、2017年7月にサウナメインの施設に大リニューアル! サウナの概念をゴロッと変えた人物が……オーナーの西生さんです。わー。嬉しいな~。パチパチパチ!!!!

清正さん

そんなに⁉ わしより有名なのか?

カメラマン・マエダ

清正さんも有名だけど、西生さんも、有名ですよ! 根掘り葉掘り、聞いちゃいます!よろしくお願いします!

「はい、何でも聞いてください!」

いきなりおじさんの裸で失礼します(本編は、おじさんの裸、満載でお送りいたします)
清正さん

おお、ノリノリじゃな…。

カメラマン・マエダ

今日は、サウナに入りながらお話を聞いてもいいですか?

西生さん

もちろん! では行きますか!

サウナハットをお借りして、いざサウナへ!
カメラマン・マエダ

(憧れの人と一緒にサウナ♪)西生さんとサウナが出会ったキッカケは何だったんですか?

西生さん

実は…、サウナ嫌いだったんです。

カメラマン・マエダ

ウソでしょ⁉(取材おわっちゃうじゃん!)

西生さん

20年ほど前までは…

カメラマン・マエダ

驚かさないでくださいよ~。何があったんですか?

西生さん

父がサウナ好きで、「ライオンサウナ」(中央区城東町・現在は「ライオンパーキング」になっています)にいつも連れて行かれていたんです。その頃、子どもはサウナ自体、入室禁止だったんですが、親父が超常連で「西生さんの息子さんならよかたい!」って特別に入れてもらっていました。小学校2年くらいかな~。

カメラマン・マエダ

小2でサウナ通い! その頃って、サウナ=怖いイメージがありますが…。

西生さん

もう、アウトレイジの世界ですよ。裸の大人に囲まれて、おっかなかったし、泳いでも怒られるし、走り回っても怒られるし、行くところがないから、誰も入ってこない「冷凍サウナ」で雪だるまを作っていました。

カメラマン・マエダ

冷凍サウナって、雪が積もってるんですか?

西生さん

いやいや、霜とかかき集めて…。寂しい思い出だから、ここには冷凍サウナは作らないんです。

………。

真っ暗なサウナで話す二人。怖い…
カメラマン・マエダ

それがどうして、こんなにサウナ好きになったのか不思議で仕方ないんですが…。

西生さん

ここは、サウナが好きすぎて親父が作ったんです。20代後半から10年ほどは、私も手伝っていたんですよ。手伝うからには好きにならなきゃな…と思って入るんですが、サウナは熱いし、水風呂は冷たいし、大っ嫌いだったんです。でも、入るうちに、「あれ? 気持ちいいぞ」って。30代半ばにはすっかりハマっていて、サウナ旅行にヨーロッパまで行くほどになっていました。

清正さん

極端じゃな~。

西生さん

サウナブームとは程遠い20年前は、ヨーロッパの展示会に行っても日本人は私たちともう1組だけ。そこで目にするサウナがかっこよくて。デザインが入ってきていたんでしょうね。その頃受けた刺激が、今の「湯らっくす」に活きているんだと思います。

閉店を考えた矢先に起きた熊本地震。
バラバラだったピースがハマり
振り切りまくったリニューアルを実行!

西生さん

10年ほど熊本を離れて、戻ってきたのは熊本地震の4カ月前。父が亡くなり、後を継いでいた姉も亡くなり、母に任せるのは申し訳なくて、閉める準備のために戻ってきたんです。

カメラマン・マエダ

そうだったんですか…。

西生さん

そしたら熊本地震でドッカーン。どうにかお湯も出て電気も通っていたので、ボランティアさんに無料開放したり色々やっていました。その時、ボランティアさんたちが良い空気を運んできてくれたんだと思います。「やってやろう」って心に火がついたんです。これだけ熊本が注目されることはないし、チャンスだと思って。それに、浴場は大事なライフライン。たくさんの人たちの役に立てたことが嬉しかったんです。

カメラマン・マエダ

そこでサウナなんですね!

西生さん

そう。熊本といえば温泉のイメージが強いですよね。うちの温泉は、素晴らしさでは熊本郊外の温泉には叶わないから、全体の2割と言われているサウナのお客さんに絞り込む作戦に。色々とリサーチする中で、サウナには水が大事ってことが分かって、熊本といえば水じゃんって。それまで考えてきたこと、やってきたことが、熊本の水をキーワードにつながった瞬間でしたね。

カメラマン・マエダ

湯らっくす名物! あの水風呂の誕生の瞬間!

出よ! 湯らっくすの滝!

詳細は後ほど…
西生さん

水は砥川溶岩の層から汲み上げています。ここが「冷たい」と「綺麗」のバランスが良いんです。正直、水が特別だとは思っていませんでした。だって水道水が飲めるのは当たり前だから、この滝が飲めるのも私たちからしたら当然なわけで、県外のお客さんにこんなに反響があるとは思わなかったですよ。清正さんの治水事業のおかげですね。

清正さん

そうじゃろう、そうじゃろう。

西生さん

当たり前すぎて、そもそもウリにしようという発想がなかったんです。ただ、面白そうだからって、この滝も出来たわけで(笑)。

カメラマン・マエダ

面白そうだからって、こんな大改装しますか?

西生さん

だって、毎日入るんだもん。自分が入りたいもの作りたいでしょう。

清正さん

わしも熊本城を、もっとあーしたりこーしたりしたかったな…

カメラマン・マエダ

歴史が変わるからやめてください(汗)

ちゃんと温泉の浴槽も残っているのでご安心ください
西生さん

浴槽を減らして、サウナを3つ作って、水風呂を作って…。デザイン性も組み込んだサウナは、全国でも初めての提案だったみたいで、改装している段階からサウナ好きの人たちの間で話題になっていて、びっくりしましたよ。

カメラマン・マエダ

サウナブームも来ていない頃ですよね。

西生さん

そうなんです。自分が好きなことを詰め込んだから、工事関係の人たちを随分怒らせましたよ。今では、喜んでますけど。

工事関係の人を困らせた問題のボタンはコレですね~。押したらどうなるか…乞うご期待!

楽しみどころ満載!
西生さんのわがままが詰まった「湯らっくす」

改装中から話題になっていたこともあり、オープンするとサウナーたちが続々と足を運び、あっという間に「サウナの西の聖地」に。さあ、どんな体験ができるのか、そろそろ見たいですよね? それでは、おっさんの裸と共に、お楽しみください!

どーーーーーんっ!

西生さんの真似をして「貫禄」を出す…いや、出てない

その前に、ちゃんとかかり湯をしてから入ります。

頭から豪快に!

は、激しい…

それでは私も! バッシャーン!
水も滴る、いい男?

みなさんの持つサウナのイメージは、ひたすら熱い空間で耐える!ではありませんか?
ノンノンノンっ! 「湯らっくす」では、その概念を変える、新たなサウナの楽しみ方を体験できるんです。ここには3つのサウナがあり、どれも西生さんが、「自分が入るなら」とセレクトしたもの。さあ、行ってみよう!

1.「アウフグースサウナ」

ドイツ語で「コーヒーなどを沸き出す」という意味がある「アウフグース」。
熱した石に水をかけるロウリュウを行い蒸気を発生させ…

この日はレモンのアロマ水を使用。サウナ内は爽やか~な香りに包まれます

タオルを一気に振り下ろし、風をおこします。
この「熱波」がとにかく熱い!

グワッ!!!!!

毎日12時~翌1時まで1時間ごとにアウフグース・イベントとして熱波を浴びるサービスが行われています
カメラマン・マエダ

一気に体が温まるんですが、これ、する方も、される方も辛いんじゃないですか?

西生さん

スタッフがやりたくないって辞めていくから、私もやることになったんですが、辛かった~。

清正さん

なぜ、わざわざ辛い思いをするのじゃ…

カメラマン・マエダ

その先に、喜びが待っているから!

2.「メディテーションサウナ」

完全オリジナルのフィンランド風サウナで、自分のペースで楽しめるように、セルフロウリュウができるのが特徴です。

サウナストーブに水をかけ、自分のペースで発汗を促します
西生さん

ジューッと水が蒸発し、立ち上る蒸気をぼーっと眺めていると、疲れがすーっと軽くなるような気がしますよ。

カメラマン・マエダ

……。(ジューッ)(フワー)(ぼーっ)…。

清正さん

よっぽど疲れとるんだろう。

そんなマエダくんのために、
サービスしちゃうよ!

カメラマン・マエダ

それは何ですか⁉(何されるの!)

西生さん

ヴィヒタという、白樺の枝を束ねたものです。香りが良くリラックス作用があると言われているんですよ。これを大阿蘇の伏流水で濡らして、サウナストーブで温めて、体を叩く。そうすると、熱気を敏感に感じ、発汗作用も活発に。傷口を消毒する作用もあるんですよ。

サウナの前に置いてあるので自由に使えます

サウナストーブで温めて

体をペシペシっ

カメラマン・マエダ

アツっ! 気持ちいいっ! どうしよう、こんな接待サウナ、はじめて!

清正さん

気持ちよさそうじゃな~

3.「 大噴火瞑想 大阿蘇」

西生さん

「瞑想」という名前通り、真っ暗な中で静かに過ごせます。気付かず、先客の膝に座っちゃうこともあるので気をつけてくださいね(笑)。

カメラマン・マエダ

それ、いやですね~。

備え付けの塩を体に塗り、塩パックも楽しめる1度で2度美味しいサウナ。

ロウリュウをすると、中は蒸気でいっぱいになって、アッツアツに。

本気で暗い…(女性用はもっと暗いそうです)

温まったら、水風呂へ!
ビビるマエダ! 目がやばいです…

おりゃあ! 「MAD MAX」ボタン押すぞ!(くそお、何でこんな高いところにボタンがあるんだよ~)

うわぁ~!!!!!!!

あ~~!!!!!!

ぶくぶくぶくぅ・・・・・

清正さん

マエダが消えたぞ!

深さ171センチのため、たいがいの人が消えます

マエダくん、
これが見本だーーーーーーー!!!!!!!

清正さん

もう、何なんじゃ…

あ~、気持ちよかった

「整う」ふたり??
西生さん

マエダくん、お腹空いたでしょう。食事にしよう!

カメラマン・マエダ

はい!(もう、どこまでも着いていきます!)

施設を利用すると、2階のレストランで「サウナ飯」が楽しめます。サウナでリフレッシュしたので、さぞかしヘルシーなメニューなのかと思ったら…

アジフライ定食!

四川風麻婆豆腐!!

肥後あそび豚生姜焼き!!!

カメラマン・マエダ

あれ? 全然ヘルシーじゃない…

西生さん

ヘルシー? そんなの食べたくないから。アジフライに自家製タルタル。しかもラッキョウ入り! 辛いもの、濃いものが食べたいんですよ。私は!

カメラマン・マエダ

これがラッキョウ入りの自家製タルタルかー! 

衣がザクっ! 身が厚い! タルタル、うまっ!大満足です! 西生さん!!!

骨もカラッと揚がっていて、ビールが飲みたい!!!(仕事なので我慢!)

最後に。
コロナウイルスの打撃を受けた時も、「だご消毒宣言」をキャッチコピーに掲げ、アルコール消毒を置きまくって、ピンチをチャンスに変えている西生さん。その発想力は、本当に素晴らしいです。

浴室にもアルコール消毒を設置!
サウナは、疲れた1日の終わりに入るとスッキリしてぐっすり眠れますよ
(実は、本職はヨガスタジオのオーナーという西生さん。最後までびっくりの連続です)
清正さん

隈本より熊本の方が勇ましかろう

いつでも、「楽しいこと」を一番に考え、直感を大事にする西生さん。サウナに振 り切って大幅リニューアルをしたり、変な水風呂を作ったり、メニューも飽きたら リニューアル。「そんな安易に決めちゃっていいの?」と一瞬心配になるけれど、 周りもしっかり巻き込まれているのは、実はそこに「芯」があるから。そのキラリと 輝く芯に、遊び心をプラスすることが、多くの人の心を掴む「ヒット」を生み出し、 ムーブメントを起こす大事なポイントなのかもしれません。

(取材・文・撮影/マエダモトツグ)

西生さんがオススメする、
近所のラストサムライ

馬料理 天國 本店

「美味しい馬料理屋がないから作った」と前田繁俊さん・さつきさん夫妻が40年以上前に始めた馬料理専門店。ご主人が目利きする馬肉は「感動する美味しさ」と、わざわざ通う県外客も多い人気店です。ほぼ毎日「湯らっくす」に通うサウナーなご夫婦。

TEL:096-326-4522
住所:熊本市西区二本木2-13-12 天國ビル2F
営業時間:11:30~14:00 / 17:30~23:00
休み:ランチのみ火曜休み
席数:43 席
駐車場:4 台

サウナと天然温泉 湯らっくす

お問合せ/096-362-1126
営業時間/24時間営業
(8時~10時は大浴場の清掃中)
定休日/なし
住所/熊本市中央区本荘町722
アクセス/JR豊肥本線平成駅から徒歩3分