6人寄れば文殊の知恵!
職人の6乗は、えらいことに!
いきなり、プリント写真ですみません。大人の事情で、この日全員集合は出来ませんでしたが、清正さんの指令にあった職人さんたちは、この写真の方々です。「職人」と聞くと、無条件にドキドキしてしまう、ものづくりも、腕のスジ(!?)も、大好き。そこに「渋さ」を加えた、グループ最年長の北川和喜さんが、注目のラストサムライということで、さらにドキドキがとまりません。
北川和喜さんはこの方です!
はやる気持ちを抑えて、川尻っ子・中村が、「川尻の歴史」をお話します。ここは、清正さんが治水事業をキッカケに、港町として発展した地域です。かつては中国と貿易を行うほど水運に恵まれ、船着場として繁栄していました。江戸時代から刃物屋や桶屋が集うようになり、熊本を代表する水都として、それはそれは活気に満ちていたと聞いています。レトロな雰囲気の川尻駅や、川尻神宮、老舗酒蔵など、見所もたくさんあるスポットですよ。あえて電車で来て、ゆったり散策してみてはいかがですか?
テクテク…
あっ、電車が通った
テクテク、テクテクテクテク……
おおい! どこまで行くんじゃ!!!
すみません! 気持ち良くて、夢中で歩いてました〜(笑)
ジャジャン!
目的地はこちら「天明堂」さんです。
面白い企画するね〜。私がそれなら、メンバーはみんなラストサムライですよ。
集合写真の6人、みんなラストサムライ!(ゴクリッ)
(ほれ、本題に入らんか。)
(もう少し浸らせてよ)。北川さん、「開懐世利(かわせり) 六菓匠(ろっかしょう)」のキッカケは何だったんですか?
港町としてにぎわっていた川尻でしたが、時代は変わり、車社会の到来、近隣の大型スーパーの誕生などによって、賑わいは徐々に右肩下がりに…。そんな地元に元気を取り戻すために、「和菓子で町おこしを!」と地元の和菓子店6軒が集まって結成しました。平成2年に結成してから約30年という長い間、和菓子を通じて町の活性化に取り組んできました。
地域のために職人同士が手を取ったのだな。
地域のみなさんに和菓子にもっと親しんでもらおうと、お菓子作り教室や工芸菓子の展覧会などの活動をして参りました。毎年2月の第一土・日曜は「和菓子とのふれあい工房」を開催し、テーマを決めて6人で力を合わせて制作する工芸菓子は、今では目玉になっています。
これまで作った工芸菓子。
和菓子とは思えない再現性の高さ!
「開懐世利」は当て字ですか?
はい。はじめは「川尻 六菓匠」だったんです。結成から12年くらい経ったとき、我々6軒があんまりにも仲良くやっているもんですから、周囲からも「本当に仲が良いね」と言われるようになって。その折、川尻の歴史を研究をされてる方が、「川尻は中国との貿易がすごく盛んだったことから、中国の古い文献に“賑わっている街、開懐世利”と書かれてあるよ」と教えてくださったんです。それが川尻の当て字の「開懐世利」だったんですね。この字を読み解とくと、「懐を開いて、世に利をなす」という意味があって、「まさにあんたたちのことばい!」ということになって変更することにしました。
ピッタリですね!
「世の中のお役に立つ」と言うと大げさですが、集まった6軒で名前に負けないような気持ちで、懐を開いて地域にお役に立つ事をはじめたというわけです。平成26年に「サントリー地域文化賞」を受賞したことで、活動が正しかったんだと自信につながりましたね。
まるで家族か親戚のような共同体だな
30年も活動しているとエピソードはまだまだ出てくる出てくる。もっと聞きたい人は、ぜひ各店で職人さんに聞いてみてください(最後にもチラッと出てきます〜)。
創業より230年の老舗。
玉名名物“高瀬飴”は「天明堂」の先代が広めた!?
相当古い歴史があると聞いていますが、創業は何年ですか?
創業から230年くらいで、私で7代目です。天明年間(1871〜1879年)に、先代が士族から「青木屋」という屋号で飴屋に転向したんです。
そんな頃から川尻で…。
いえ、開業は玉名なんです。今も残っている玉名名物“高瀬飴”は、先代が広く売出し、流行らせたと言われています。
“高瀬飴”を玉名名物にまで流行らせただけでなく、今度は川尻名物まで! 熊本の菓子文化・歴史に欠かせないお店じゃないですか!
しかも、北川ではなく青木だったとは!
2代目が北川に改姓したそうです。その後、明治2年に川尻に移った時は、飴屋と蕎麦屋をやっていたんですよ。「天明堂」になったのは、昭和3年ですね。
飴と蕎麦とか、和菓子と洋菓子とか、1ジャンルでは収まらない多才さは、先祖代々受け継がれているんですね。そういえば、田迎にショコラトリーもあるような…。
よくご存知ですね。あちらは、弟の店なんです。
確か、そこのご主人も、お好み焼きとかパン焼いたりしてるって雑誌で見ましたね(笑)。北川家には、「常識」とか、「普通」とか、そんな枠がないんだろうな。
自由な発想は、無限の可能性を生み出すものじゃ。
「和菓子ラバー」必見!
6者6様の和菓子コレクション♪
はい、もう今日はカロリーとか気にしません。好きな物を好きなだけ食べて、ジムで「±0」にします! (無理じゃろうが、今は黙っておこう…by清正)
1軒目は、ラストサムライ「天明堂」さんから!
勝手に新コーナー!
「天明堂」に行ったらコレ食べとけ!
No.1“酒かすてら”
「天明堂」に行ったらコレ食べとけ!
No.2“天明饅頭”
続いては、「天明堂」さんから徒歩2分!
「お菓子のいしはら」さん
石原裕次郎さん!
あ、間違えた!
石原洋次郎さんです!
そのネタで、よくいぢられますよ
昔ながらのお菓子が多く、どら焼きやきんつば、まるぼうろなどが並んでいます。では早速!
「お菓子のいしはら」に行ったら
コレ食べとけ!
No.1“喜久もなか”
「お菓子のいしはら」に行ったら
コレ食べとけ!
No.2“切れ端カステラ”
続いては、「お菓子のいしはら」さんから徒歩2分!
「菓匠 たてやま」さん
出し惜しみせず、
メンバーに工芸菓子の技術を教えてくれる
立山學さんです!
作務衣が似合う書道家?
いや、和菓子菓子職人です!
「菓匠 たてやま」に行ったら
コレ食べとけ!
No.1“花おぐら”
「菓匠 たてやま」に行ったら
コレ食べとけ!
No.2“鮎の塩焼き”
さあ、和菓子マラソン、折り返しです!
(コーナー変わってるし…)
続いては、「菓匠 たてやま」さんから徒歩3分!
「菓舗 梅園」さん
小豆と対話しちゃう
しゃべり担当!
片岡圭助さんです!
創業120年。伝統茶席菓子を得意とし、小豆を理解し小豆と対話し、店の味を守り続けられています。
ラジオで鍛えた
マシンガントーク炸裂!
(すみません! カットしまくってしまいました、涙)
「梅園」に行ったらコレ食べとけ!
No.1“そば薯蕷(じょうよう)”
「梅園」に行ったらコレ食べとけ!
No.2“菊づくし”
さあ、5軒目! もうちょっと!
(車には乗らないぞ! ちょっとでも歩く! で、食べる!!)
続いては、「梅園」さんから徒歩7分!
「いわもと」さん
ほっこり雰囲気の親子
二人三脚が素敵!
岩本昭男さんです!
昭和42年創業。昔の駄菓子屋のような雰囲気の店構えと、定番の和菓子をそろえています。
この笑顔にほっとします♪
「いわもと」に行ったらコレ食べとけ!
“どら焼き”
続いては、「いわもと」さんから徒歩14分!
(車だと3分)←誘惑、笑
「菓舗 かずさ屋」さん
メンバー最年少!
北川さんとの年齢差は26歳!
中西弘一さんです!
加瀬川沿いにあり、2019年10月に新店舗をオープンします!(楽しみ♪) 昔からの製法を大事にしている一軒です。
確かにお若い!
「菓舗 かずさ屋」に行ったら
コレ食べとけ!
No.1“まるぼうろ”
「菓舗 かずさ屋」に行ったら
コレ食べとけ!
No.2“れもんケーキ”
GOOL!!!!!!!!
ゴォォォオルゥーーー!!!!!!!
(限界突破! 自分で限界を決めたら、そこで終わる…)←何の名言だ(笑)
食べた…全部食べたよ。お母さん、やったよ(涙)
わしには1個もくれんかったな…。
最後に、北川さんから伺った「六菓匠」エピソードを、もう少しご紹介します。
工芸菓子を制作するメンバーたちは、もちろん各店で技を磨き続けるライバル店の職人さんたちです。メンバーの一人「菓匠 たてやま」の立山さんが先生で、他のメンバーは生徒。技術を学びながら、本物そっくりの作品を作り上げていくのです。普通、商売するライバルに自らの手の内を見せたがらないのが一般的です。しかしながら「六菓匠」は、その壁を乗り越えたということ。なんでそんなに仲が良いのかは、「いっぺん飲んだけんかな…」と(さすが、飲みニュケーション、笑)。そういった人間関係のおかげもあってか、「六菓匠」が一つの和菓子屋だと認識しているお客さんも多く、間違えて他店のお菓子を買いに来る人も。「30年前より知ってもらえているんだなと感じています」と北川さんは嬉しそうに話してくださいました。
普段の友達付き合いは一人くらいが良いだろう。ただし、武芸を催す場合は、多人数でやるがよい。
一人ひとりが、日々の中で技術を磨き続ける職人の世界。「町おこし」という大きなプロジェクトに向けて、それぞれの力を集結し取り組む事は、一筋縄ではいかないものです。その壁を乗り越えられた「六菓匠」は、これから「町おこし・町づくり」に取り組む人たちの、大事な勇気になることでしょう。ラストサムライ・北川和喜さんは、メンバー最年長として、老舗店の主人としての大きな責任を担って、今日も腕を磨き続けていることでしょう。
(取材・文・撮影/中村あきこ)
北川 和喜さんがオススメする、
近所のラストサムライ
- 宮﨑染織
-
川尻が誇る昔ながらの染物の技術を受け継がれたいらっしゃる。昔ながらの染物だけではなく、時代に合わせた新しい染物の提案もされており活躍されております。
TEL:096-357-9109
住所:熊本市南区川尻1-3-22
営業時間:9:00~18:00
休み:日曜・祝日
駐車場:5台
天明堂
お問合せ/096-357-9225
営業時間/9:00〜20:00
定休日/元旦のみ
住所/熊本市南区川尻1-3-39-2
(中唐人町通り)
アクセス/JR鹿児島本線川尻駅より
徒歩4分
お菓子のいしはら
お問合せ/096-357-9841
営業時間/8:30〜19:00
(日祝祭日は〜17:00)
定休日/第3日曜
住所/熊本市南区川尻1-5-50
(アクセス/JR鹿児島本線川尻駅より
徒歩6分
菓匠 たてやま
お問合せ/096-357-9356
営業時間/9:00〜19:00
(日曜は〜18:00)
定休日/元旦、1月2日のみ
住所/熊本市南区川尻4-1-43
アクセス/JR鹿児島本線川尻駅より
徒歩8分
菓舗 梅園
お問合せ/096-357-9143
営業時間/9:00〜19:00
定休日/水曜
住所/熊本市南区川尻4-6-20
アクセス/JR鹿児島本線川尻駅より
徒歩10分
いわもと
お問合せ/096-357-7465
営業時間/8:00〜20:00(日曜は〜19:00)
定休日/なし
住所/熊本市南区川尻6-2-24
(中唐人町通り)
アクセス/JR鹿児島本線川尻駅より
徒歩16分
菓舗 かずさ屋
お問合せ/096-357-9346
営業時間/9:00〜19:00
定休日/不定休
住所/熊本市南区川尻3-14-21
アクセス/JR鹿児島本線川尻駅より
徒歩14分
はじめまして、ライターの中村あきこです。筋トレが趣味というパワフルな一方、着物にハンドメードが大好きな女子力も(一応)ある私。職人さんの取材が出来るとあって、昨夜から眠れませんでした(笑)。しかも、本日お邪魔する川尻は、私の地元! なんたる偶然♪ 指令にある、職人さんが手を取って町おこしをしている…というのは、きっとあの方たちですね♪ みなさん〜、待っててください〜。